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おたふく風邪

 

医学用語ではムンプスということもあります。ウイルスをもらってから症状がでるまで2~3週間と長くかかるのが特徴の一つです。耳の前につばを作る場所の一つとして耳下腺という場所がありますが、そこで炎症を起こして腫れるのが特徴で、腫れる少し前からつばの中にウイルスが出てくるので、それに触れると感染します。腫れが落ち着くころに感染力も落ち着いてきます。

 

主につばの中のウイルスがくしゃみや咳などで飛んでそれを吸い込んだり、触れたりすることで感染することが多いですが、病原性があまり強くないため、感染しても症状が出ないことが3割ほどあります。このため、本人もかかっていることに気が付かず、人にうつしてしまうこともあるのがやっかいな病気です。

 

おたふく風邪の特徴は耳の下、頬の耳側、顎の下あたりが腫れることで、一般には片側から腫れはじめ、少し遅れて反対側が腫れてきます。両側が腫れるのがおたふく風邪の特徴ですが、片側しか腫れないこともあります。1週間程度で腫れはひきますが、つばが出るのが痛く、腫れている場所も痛いので、顎を動かしたりつばがわいてくる食事が辛く、飲んだり食べたりが苦痛になります。熱はあまりでないことが多いですが、頭痛や嘔気・嘔吐、腹痛があることもあります。合併症として髄膜炎があり、頭痛や嘔吐の程度が強い場合は医療機関を受診した方がよいでしょう。

 

おたふく風邪の問題の一つに難聴があります。片側の耳の難聴が比較的よく起こるとされ、残念ながら難聴になると治す方法がありません。片耳のため気が付かれにくく、大人になってから判明することもあります。人によっては希望する職業につけなくなることもあり、人生設計に影響することもあります。ワクチン接種によりこの難聴を予防することができるため、任意接種ではありますが接種することをお勧めしています。おたふく風邪のワクチンもはしかや水ぼうそうと同じように2回接種が予防効果を上げるために必要となります。

 

はしか

 

麻疹(ましん)とも言われます。感染力がとても強く、ウイルスが体に入るとまず発病します。ワクチン接種をする病気の中でとりわけ感染力が強く、またかかると命にかかわる可能性が最も高い病気です。日本ではワクチン接種が普及して、2015年にWHOから麻しんウイルスが国内にはいないという認定をもらうことができました。ただ、東南アジア等、まだ廃絶できていない国はあり、旅行などでそれらの国に行った際に感染してしまい、帰国してから発症して他の人にうつってしまう出来事は毎年のように起こっています。

 

はしかは人から人へうつります。空気感染があるため、接触をしなくてもうつります。1人が10人以上の人に感染する力があるとされ、感染力も強力です。熱が出る前の日か発疹が出て4,5日経つくらいまで感染力がありますので、学校保健では熱が下がって3日経つまでは出席停止とされています。マスクや手洗いでは予防しきれず、現在はワクチン以外に感染を予防する方法はありません。

 

はしかは、感染すると10~12日して38℃くらいの熱、咳、鼻などの風邪症状、眼が赤くなる・目ヤニが出るなどの眼の症状がまず出て、一度熱が下がった後に半日ほどして高熱と全身の発疹が出てきます。この熱が下がる前くらいにコプリック斑という特徴的な口の中の発疹がでるので、これを見つけられると診断ができることがあります。全身の発疹は上から下、中心から手足の先へと広がり、はじめは鮮やかな紅色で徐々に発疹同士がくっつき、褪せた色に変わり、色素沈着に変わり、1週間~10日程度できれいになっていきます。高熱は4日程度続き、解熱します。はしかは抵抗力を落とすため、インフルエンザの後のように治った後も体力低下が残り、他の病気にかかりやすい状態がしばらく続きます。合併症として、肺炎や脳炎、中耳炎など重いものもあり、入院が必要になることも少なくありません。元々病気をもっている方がかかると命にかかわることが多々ありますが、元気な方でも、肺炎や脳炎で命を落とすことがあります。

 

はしかのワクチンは効果が高く、抗体というはしかのウイルスを退治する成分を上手に作ってくれますが、一部に1回のワクチンではその成分が十分に作られなかったり、また多くの人ではしばらく経つと体が抗体の作り方を忘れかけてしまったりする、とされています。このような状態だとはしかへの対応力が不十分な状態になるため、軽い非典型的なはしかになることがあります。これを修飾麻疹といいます。典型的ではないため診断が難しくなりますが、感染力はあるため、診断がつかない間に感染を広げてしまうことがあり、要注意状態となります。

 

風疹

 

3日はしかとも言われ、はしかと似た発疹が出る感染症です。ワクチン接種が開始され、近年は乳幼児での流行はほとんど見られなくなりましたが、代わりに大人での発症報告が見られています。これは1990年代半ばまでのワクチン接種が中学生女子のみであったことが理由と考えられています。

風疹の感染経路

風疹ウイルスに感染した人の鼻・のどからの分泌物の中に風疹ウイルスが含まれます。それが飛沫感染を起こすことにより、手指を介して鼻・口へ運び込まれる、またこの飛沫を吸い込むことによって起こります。鼻・咽頭部の粘膜で増殖して約1週間後に、血液中に多量のウイルスが全身を巡り、後述する症状を認めます。また、妊娠早期では母親の感染により直接、胎児の感染が起こります。

風疹の症状
(こどもと大人の比較)

ウイルスの感染から14~21日(平均16~18日)の潜伏期間の後

1.38度以上の発熱
2.発疹
3.リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)

が出現します。発熱はすべての風疹患者にみられるわけではなく、60~70%にみられる程度です。また、ウイルスにかかっても症状が出ない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」が15~20%程度存在します。風疹は別名「3日はしか」と呼ばれる通り、これらの症状は3・4日で改善傾向となります。

これら風疹の症状は、子供のうちは比較的軽いものですが、稀なケースとして急性脳炎・血小板減少性紫斑症など合併症が発生することがあります。

また、風疹は子供の感染症と思われがちですが、感染者のほとんどが成人であることを強調しておきます。成人が感染すると、発熱や発疹期間が長く(1週間以上)、また関節痛がひどいなど、子供と比較し症状が重くなる傾向があります。

この3つの症状がそろわない場合には診断は困難となり、血液検査で判断することが多くなります。また似たような疾患では溶血性連鎖球菌による発疹、伝染性紅斑(りんご病)、伝染性単核球症(EBウイルス感染症)があります。

先天性風疹症候群 ~増加傾向だからこそ知っておくべき知識~

風疹の最大の問題は、ウイルスに免疫のない妊娠20週頃(胎盤の機能がしっかりしてくる)までの妊婦が感染したことにより、胎児が感染して、下記の先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群が出現することです。 妊娠中の感染時期により重症度、症状の種類が様々であり、先天異常として発生するものの多くには以下の3主症状があります。

・先天性心疾患(動脈管開存症が多い)
・感音性難聴
・白内障または緑内障

先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、間質性肺炎、髄膜脳炎、精神運動発達遅延があげられます。

先天性風しん症候群の発生頻度は、妊婦が風疹に感染した時期により異なり、妊娠4週までは50%以上、5~8週は35%、9~12週は15%、13~16週は8%とされています。妊娠8週までの罹患では、白内障、心疾患、難聴の2つ以上の疾病が出現し、それ以降20週までの罹患では難聴のみのものが多く、妊娠後半の罹患では、胎児に感染は起こっても、先天異常は出現しません。

風疹の予防…大人でもワクチン!

日本においては、小児には1歳と年長の2回にMRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)が定期接種として行われております。こちらはご存じと思われます。その一方で、成人に対しても、市町村によっては、妊娠を希望する女性・そのパートナーに対して助成によりワクチン接種を進めている自治体もありますので、お住まいの自治体や医療機関でご相談されることをおすすめします。成人の場合でも感染しないため、また生まれてくる赤ちゃんの先天性風疹症候群の予防にご検討ください。

水ぼうそう

水痘・帯状疱疹ウイルス(すいとう・たいじょうほうしんういるす)が原因でおこる病気です。最近はワクチンが定期接種になったので、いずれ珍しい病気になると思います。ただ、1回のワクチンでは十分に予防できないので、2回しっかり受けるようにしてください。

とても伝染力の強いウイルスで、直接触れることがなくてもうつります

多くの人は38度くらいの熱が出て、体全体に水をもった発疹が出て、1週間程度で治りますが、時に脳炎などの重大な症状をおこすことがあります。また体の抵抗力が低い病気が元々ある方がかかると亡くなることもある怖い病気です。
防ぐことのできる病気で命を落とすことがあるのはとても悲しいことだと思いますので、ぜひ日本のすべてのお子さんの幸せを考え、ワクチンを打っていただけると嬉しいです。

余談ですが、このウイルスは一度感染すると生涯人の体の中に住み続けます。そして年を取って体が弱ったときに帯状疱疹という形でまた現れます。これがとても痛い病気です。
最近はその予防にもワクチンが有用といわれいます。自費になってしまいますが、50歳以上の方でワクチンの効果・効能が認められましたので、お子さんのおじいちゃん、おばあちゃんにお話しいただけると幸いです。